相次ぐ電動工具の盗難の背景には、盗難品と知りつつ買い取る悪質な買取業者がいます。電動ドリルなど大型の電動工具は高価で、中古でも需要があり数万円で取引きされています。
窃盗犯が捕まると盗品を取引した買取業者にも疑いがかかり廃業のリスクがありますが、「買取業者が盗品と認めなければ立件されにくいという誤った認識」を買取業者が持っていることも一つの原因です。
盗品の売却先が無ければ電動工具の窃盗被害を減らせることにつながるため、警察は悪質な買取店の摘発を強化しています。
大阪府警の悪質古物商の摘発強化
2014年頃から大阪府警では悪質な古物商の摘発を強化し、3年間で16店舗の悪質な買取店が廃業に追い込まれました。
その頃大阪では電動工具を目的とした車上荒らしや事務所荒しが頻発、また、全国で窃盗された電動工具の売却先として大阪府内の古物商が照会されるケースが多数ありました。
2015年以降の車上狙い被害は減少傾向で、2015年は3,059件、2016年は2,468件。府警が悪質な古物商対策に注力し、売却先が次々と廃業したことによる効果もあるとみられます。
参考 盗品買い取り悪質古物商、3年で16店廃業-高いハードル越え大阪府警が徹底捜査「犯罪の連鎖絶つ」| 2017.6.26産経WEST以下抜粋
盗まれたドリルなどの工具を盗品と知りながら買い取ったとして、大阪府警が2月までの約2年間で古物商12店舗を摘発し、別に任意捜査した4店を含む計16店が廃業に追い込まれていたことが25日、捜査関係者への取材で分かった。盗品を買い取る古物商の存在は新たな窃盗事件を生みかねず、府警は犯罪の連鎖を断ち切ろうと、違法業者に対する取り締まりを進めた結果、車上狙い被害が激減。売却先が減ったためとみられ、府警の徹底捜査が功を奏した形だ。
〜中略〜
「売却先がない」という状況を作れば…
工具などを盗む手口として最も多いのが車上狙いだ。府警によると、26年に府内で起きた工具類窃盗6359件のうち、約56%に当たる3571件が車上狙いによる被害だった。
ところが、27年以降の車上狙い被害は目を見張るほどの減少傾向を示している。27年は3059件、28年も2468件と、対前年比でそれぞれ14・3ポイント、19・3ポイント減を記録した。府警が悪質な古物商対策に注力した27年以降、売却先が次々と廃業したことによる効果もあるとみられる。
府警幹部は「今後も悪質な古物商の摘発を続け、『売却先がない』という状況を作れば、窃盗被害を減らせることにつながる」と強調している。
盗品買い取り悪質古物商、3年で16店廃業-高いハードル越え大阪府警が徹底捜査「犯罪の連鎖絶つ」| 2017.6.26″ site=”産経WEST
フリマアプリやネットオークションでの摘発も
手軽に出品できるため、フリマアプリやネットオークションへ盗品が出品されることもあります。これらもサービス側が本人確認を強化したり通報しやすくすることで窃盗犯の逮捕につながっています。
参考 軽トラの荷台の工具盗まれる→オークションで発見し容疑者から落札 窃盗容疑で塗装工の男を逮捕 京都府警八幡署| 2016.6.15産経WESTこの事件で製造番号が決め手で出品した盗難犯の逮捕につながりました。
盗品と立証するのに重要な製造番号
盗難届けを出す際にも重要な情報となる製造番号。ほとんどの高価な電動工具に印字されています。
高価な工具を購入した際には購入した際のレシートと製造番号を控えておきましょう。
「工具防犯登録」では工具の製造番号と所有者を登録し、盗難等の被害にあった場合に工具の所有者を早期に特定できるサービスです。
窃盗犯だけでなく悪質な古物商の摘発にもつながります。電動工具を購入する際にはぜひ「工具防犯登録」にご加入ください。